安心・安全の院内感染予防対策とは?
風邪に代表される細菌、ウイルス、真菌などが、人から人に移っていく感染症。病院という場所柄、生活を行う場よりの感染症に感染しやすいという現実があります。病院に治療に行って、違う感染症になる可能性があるということは、実は非常に危険なことなのです。
細菌、ウイルス、真菌などは目に見えないため、感染を完全に予防するのは至難の業ですが、医療人として感染を防ぐために努力することは、当たり前のモラルです。
感染予防対策とは、そういった感染からゲストの皆様をお守りする、病院を上げて取り組んでいる予防対策です。ゲストの皆様のお口に入るものはすべて滅菌済みかディスポーザブル(1回使い捨て)の器具を使用することを基本としています。
口腔外バキュームによる診療室内のエアダスト防止
トリートメントゾーンでは、全ての治療ユニットに口腔外バキュームがついています。治療中に生じるエアロゾル(歯を削った際に生じる極小の粉じん)を吸い込むと院内感染だけではなく、健康にも害があると言われています。口腔外バキュームはそれらを吸い取るためのものです。
下の動画はハイスピードカメラで診療中のお口の周りを映したものです。小さい霧のようなものが、細菌など汚染物の含まれるエアロゾルです。口腔外バキュームがエアロゾルをほとんど吸引している様子がよくわかります。
口腔外バキューム使用 | 口腔外バキューム未使用 |
滅菌と消毒はどう違うの?
■滅菌(sterilization)
対象物の中に存在する「あらゆる微生物」を完全に殺す、または取り除くこと。芽胞(あらゆる殺菌法に対して最も抵抗性が強い細菌)を完全に殺すことが出来る。
■消毒(disinfection)
対象物の中の「病原性のある微生物」のみを殺す、または取り除くこと。芽胞までは殺すことはできない。
■殺菌(参考)
滅菌や消毒のように区別せず、単に微生物を殺すことを表現したもの。
当院で行っている院内感染予防対策
- 1.水洗や血液溶解剤などで消毒前洗浄を行った後、消毒薬を満たした超音波洗浄器で一次消毒を行います。
- 2.一次消毒終了後、水洗で消毒薬をきれいに流し落とし、滅菌パックに袋詰めしたあとシーリングを行い密閉します。
- 3.滅菌パックのまま高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)にて二次滅菌しています。
- 4. 熱に弱いタービン類はカボ社のクワトロケアにて洗浄、注油を行った後、専用のモリタ社の高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)にてお一人使用ごとに滅菌しています。このためタービン・ハンドピース類は60本以上、クワトロケアとオートクレーブは2台づつご用意して安全な治療を提供しています。
- 5.高圧滅菌できないもの(ゴム製品など)は、グルタールアルデヒドなどの、殺菌性の非常に強い薬液に浸して消毒します。
- 6.滅菌終了後、治療に備えて保管します。